私設現代宗教研究所ブログ

日本の現代宗教に関する情報を発信していきたいと思います。不定期更新

現代宗教界用語集8:勅使

現代宗教界用語集8:勅使

勅使とは、天皇陛下の使者のこと。天皇陛下の代理人。伊勢神宮やいくつかの神社や寺院には、祭祀や法要に定期的にあるいは臨時的に派遣(差遣)されている。
勅使による宗教行為は、法的には天皇の私的な行為とされている。政教分離という言葉を知らないマスコミは、「宮内庁からの勅使」と書くことがあるが明確な誤りである(もし本当に「宮内庁からの勅使」だと憲法違反になりかねない)。もちろん宗教だけに関わるのではなく、大規模災害発生時や皇室の婚儀「告期の儀」などで派遣されたこともある。このような場合は「宮内庁からの勅使」もありうる。

神社に派遣される場合は主に天皇の私的な使用人(内廷職員)である掌典職が担当することが多い(「宮内庁掌典職」という役職は存在しない)。

 

現代宗教界用語集7:神官と神職

現代宗教界用語集7:神官と神職

神官とは、神社に奉仕する公務員のこと。現在でも新聞記事に「神官がお祓いした」などと書かれることが少なくないが、神社の国家管理は1946年(昭和21年)に終了しており、明確な誤りである。マスコミの知識は70年前で停まっているらしい。日常語で「神主(かんぬし)」と呼ばれる宗教家は、現在、正式には「神職」と呼ばれる。

明治初期に法令で「神官」が定められたが、明治中期に伊勢神宮に奉仕する者のみが「神官」とされ、その他は「神職」と改められた。「神官」は内務省管轄の公務員だったが、「神職」は、「みなし公務員」だった。1894年(明治27年)~1946年(昭和21年)にかけて神職は、公務員待遇であったが、正式な公務員ではなく、法的に曖昧な地位に置かれていた。

言葉のむなしさ

「熊本を忘れてはならない」と書いている人がいた。もちろんその主張は何も間違っていないが、これほど言葉のむなしさを感じることはない。

残酷な悲劇など日頃から無数にあるわけで、12日にはフロリダで50人が殺されたが、日本では毎日100人近くが自殺していることが統計上言われている。東日本大震災で日本人の価値観は転機を迎えたなどいう人もいるが、明治維新や戦災は忘れてしまったのだろうか。

福知山線事故で負傷し自殺した幼馴染は、生前やはり「事故を忘れるな」と何度も強調していた。しかし、「熊本を忘れるな」と書いた人から福知山線事故への言及は一度も聞いたことがない。同じ地域社会の中で起こった惨事であり、熊本よりよほど身近なことにも関わらず、すっかり忘れてしまったらしい。

犠牲者が4千人とも4万人とも言われるキリシタン弾圧は?124人が亡くなった弥彦神社事故は?死者22万人のスマトラ沖地震は?ルワンダ虐殺は?現在も行方不明者が見つかっていない御嶽山の噴火は?昔のことだからどうでもよい?外国のことだからどうでもよい?神社のことだからどうでもよい?

「忘れません」と力強く宣言することが今、現実に困っている被災者の方々を励ますことは確かにあるだろう。ただそれにふさわしい場面だろうか。どんな目的で、誰に対して、どの立場に立って文章を書いているのかよく分からない。

注目を集めようとして「流行」をネタにして自己陶酔しているが、歴史を知らず全体を見渡すことができていない、というのは悪意に満ち過ぎだろうか。

精神力が弱い私は、恣意的に選択された事象だけを強調して他のことを切り捨てる文章を読むたびに吐き気をもよおしてしまうのである。

 

 

今日も暴力には負けません。

テレ東には「タブーの統一教会が絡んでいるから、新聞や他のテレビ局が怖がって大きく取り上げることはない」という計算があるのかもしれない。

「もしかしたらテレ東には「タブーの統一教会が絡んでいるから、新聞や他のテレビ局が怖がって大きく取り上げることはない」という計算があるのかもしれない。」(時田章広)

www.excite.co.jp

1995年のオウム事件が日本社会に衝撃を与えて久しいが、「はれもの」以上に宗教に対する理解や経験が進んだと言えるのだろうか。マスコミの実態がかいま見える。

 

現代宗教界用語集6:近現代の仏教メディア一覧

安食文雄著、2002『20世紀の仏教メディア発掘』より、近現代の仏教メディア名を抜書き。実に多くの雑誌や新聞が発行されていたことが分かる。さらに他の資料も調べて補遺したい。現在、宗教メディア界では今更ながらの「寺院消滅ブーム」が来ているが、現代の仏教界の問題のほとんどは既に20世紀には提起尽くされているのではないだろうか。(著者の表記を尊重してなるべく旧字のものは旧字、新字のものは新字としたが、原典通りでないものもあるかもしれない)
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近現代の仏教メディア一覧
『佛敎思想』(のち改題『世界佛敎』):野依秀市が発行。
『眞宗の世界』:野依秀市が発行。
『眞人』:訓覇信雄ら発行
『在家佛敎』
『大法輪』:石原俊明が発行
『日本大法輪新聞』
『宗教公論』
『淨土』
生長の家
『宇宙』:山岡萬之助が監修
『眞理』(改題『臣道』):友松円諦が発行
『教學新聞』:『仏教タイムス』に「合流」
『文化時報』
『無我愛』
『信仰』
『十方』
『佛敎文化』
『月刊住職』(『寺門興隆』)
『福神』
仏教タイムス』
『宗教維新』(『光輪』より改題):中山理々が発行
『中外日報』(『教學報知』より改題)
『中央佛敎』
『大乗禪』
『佛敎童話』
『日本宗教新聞』
『日本佛敎新聞』
『読売新聞』宗教部
『現代佛敎』:高楠順次郎主宰
『佛敎救済軍』
『無我の愛』
『法界雜爼』
『女性佛敎』:野依秀市主宰
『大世界』:野依秀市主宰
『佛敎年鑑』
『明教新誌』
『開導新聞』
『奇日新報』
『通俗佛敎新聞』(改題『佛敎新聞』):高田道見発行
『真如』:高田道見発行
『法輪』:高田道見発行
『六大新報』
『佛敎毎週新聞』
『宗教と生活』:竹田豊三郎が発行
『佛陀』:浅野研真発行
『新佛敎』
『精神界』:清沢満之
中央公論』(『反省會雜誌』より改題):
『宗教情報』:鈴木出版
『朝鮮佛敎』
『和』
『生きて行く道』:石丸悟平発行
『全人』
『梵響』
『婦徳』
『家庭乃教』
『大乘』
『大獅子吼』
高野山時報』
『教化リサーチ』
『釈門哲学雑誌』
『劇ト信仰』
『人生創造』:石丸悟平発行
『宗教研究』
『聖潮』
『宗教と科学』
『道』
『僧界雜爼』
『佛敎』
『日本宗教』
『教義新聞』
『報四叢談』
『共存雑誌』
『興隆雑誌』
『禪の生活』
『新興仏教新聞』
『教材通信』:友松発行
『明治佛敎』:明治佛敎史編纂所


その他、雑誌目録
仏教書総目録』
『宗教の本 全情報』
『明治年間仏教関係新聞雑誌目録』
ほか

 

また科研費で「近代日本の宗教雑誌アーカイヴ」(http://www.modern-religious-archives.org/)が作成されている。

現代宗教界用語集5:内局

宗教界用語集:内局


伝統仏教などの教団(宗務庁、宗務所)の執行部のこと。国でいう内閣に相当する。総理大臣にあたる宗務総長(宗務長、総長)の名前を冠して「⚫︎⚫︎内局」と呼ばれる。浄土真宗本願寺派では「総局」という。「教主」にあたる管長や門主は、宗派行政上の責任を負わず、内局には含まれない。
構成員には、宗務総長のほか、各省の大臣にあたる部長(局長)や官房長官にあたる公室長などが含まれるが、制度や名称や人数は宗派によって大きく異なる。これらの職は通常、組閣のように宗務総長が任命し、宗会議員が就任することが多い。なお、宗務総長が宗教法人の代表役員、他の内局構成員が責任役員を務める傾向にある。
寺院でも、本山クラスの場合、執行部を内局と呼ぶことが多い。その場合、寺務の責任者である執事長(寺務長、執行長など)と執事が構成員となり、住職は寺務上の責任を負わず、内局に含まれない。
宗派内局が総本山(呼称は宗派により異なる)寺院の内局を兼務する体制を宗本一体という(それぞれ専任の構成員がいる場合は宗本分離という)。
神社本庁の場合、「総長」を事務の最高責任者とするのは仏教界に似ているが、執行部に対する呼称は特になく、組織構造が異なる。